アメリカに帰化するという事
ふと気が付くとアメリカ生活も20年を超えていた。
ただ色々と訳あって、今から3年前ぐらい前のオバマ政権の最期の方の時にアメリカへと帰化する運びとなった。
現在の日本の法律下では、成人した人間が自らの意思に基づいて他国の国籍を取得した場合、無条件で自動的に日本国籍を喪失する事になっている(国籍法11条)。
中には届け出さえ出さなければ日本国籍をそのまま維持できると勘違いしている人達も一定数いる様であるが、国籍喪失した事実が発覚すれば、遡及して罰則なり手続きの無効化なりが適用される事となるので、その辺りは良く良く考えて行動した方が良いだろう。
自分はアメリカ国籍取得後に在ニューヨーク日本国総領事館に国籍喪失届けを提出しているため、日本の戸籍は除籍状態となっている。
アメリカに帰化する事に抵抗は全く無かったかというと、やはりそれは嘘となる。
人生の4分の3以上は海外生活ではあるが、小学校高学年から高校卒業までは日本で生活していたというのもあって、自分のアイデンティティはと言うとやはり「日本人」の一言に尽きるからだ。
アメリカに帰化するプロセスに関してはネット上にも色々と詳細が載っているので、ここでは割愛するが、その一番最後のプロセスの宣誓式において、米国に帰化するためには「星条旗」と「アメリカ合衆国憲法」の下、アメリカという国家に対して不動の忠誠を誓わされる事となっている。
特に以前の国家に対する全ての忠誠心を捨て去り、必要とあれば法の下、武器を取ってアメリカ合衆国を守る事も誓わされる。
つまりアメリカに帰化するという事は、仮に自分の祖国とアメリカとが戦争状態になった時には、祖国である日本に対して、ひいては自分の親兄弟に対してさえ銃口を向ける覚悟が要求されるのだ。
勿論、今の日本とアメリカとの関係を鑑みればそうなる可能性は限りなくゼロに近いのだが・・・。
そんな自分もアメリカに帰化してからまもなく丸三年が過ぎようとしている。
日本に入国する時には、当然ながらアメリカ人として入国している。
一番最初にアメリカのパスポートで日本に入国した時に「上陸許可」と書かれたスタンプを貼られて、大笑いした事も今となっては良い思い出である。
今現在、自分はニューヨークでアメリカの教育系NPO団体のIT部門で仕事をしている。
この国において、教育格差は大きな問題であり、特に貧困層はそのジレンマから抜け出す事は非常に困難となっている。
アメリカ合衆国に対して忠誠を誓った以上、この国が少しでも良くなる事にこれからも貢献して行ければと願って止まない。